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産婦人科は社会の縮図

Naoko女性クリニック 院長 髙宮城 直子(フェムシップドクター推進本部 本部長)

 

沖縄タイムス コラム「うちなぁ見聞録」 2024.06.22



よりよい未来へ


この連載も12回目で、私の担当の最終回となりました。これまで、産婦人科医・女性ヘルスケア専門医の立場から、さまざまなことを取り上げてきました。月経関連、出産・子育て、不妊、望まない妊娠、子宮頸がんワクチン、更年期など産婦人科ならではの回や、ヘルスリテラシー、ユースクリニック、女性の社会的立場・支援などの回もありました。12回も話題があるだろうかと始めましたが、まだまだ語り尽くせていないこともあるように思えます。


産婦人科からは社会が見えます。生まれる命を扱いつつ、がんの予防・診断・治療やがん末期の緩和ケア・みとりが同じ科で行われ、DV、性暴力、性的虐待、性病、産後うつ、更年期障害などの患者さんと接することがあります。望まない妊娠で困って悩んでいる人、なかなか妊娠がかなわず不妊で悩み、流産・死産でつらい思いをしている人も来られます。産婦人科は社会の縮図のようです。


女性の真のウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に満たされた状態)は、以前にも書いたように、パートナーや子どもたち、職場に大きく影響します。女性特有の問題と捉えるのではなく、社会全体の問題として解決していかなければなりません。


沖縄県特有の問題点も多々あります。若年妊娠(10代の妊娠)が他府県の2倍と多いこと。離婚率が高いこと。子宮頸がんが全国2位と多い方で検診率や子宮頸がんワクチン接棟率が低いこと、肥満や糖尿病が多いこと、貧困率が高いことなど。健康問題、社会問題いずれも山積しています。日本一長寿県(1985年男性、1975〜2005年女性)であったものが、平均寿命は22年男性が80.73歳で全国43位(ワースト5位)、女性が87.88歳で16位と下落してきています。公衆衛生的な見方を持ちつつ、日々の診療や講演活動などを続けていきたいと考えています。


今後は自分でできる範囲の婦人科診療の継続を第一としつつ、日本女性財団や女性医療ネットワークの活動、若者相談室うらそえの始動、「HerLifeLabーハーライフラボ)」のメディカルアドバイザーとしての仕事など、女性のウェルビーイング実現のために微力ながら頑張りたいと考えています。


おかげさまで甲帰り出産で1月に生まれた初係(男女双子)も4か月になり、寝返りもできるようになりました。東京の保育園が決まらず、いつ東京に戻れるか未定です。しばらく沖縄で認可外園にお世話になりながら過ごす予定です。職があっても産後女性の職場復帰は困難です。この子たちが大人になった頃、今より状況が改善され、日本のジェンダーギャップ指数24年、146か国中118位でG7中最下位)が上昇することを望みます。男性も女性も生きやすい、平和な世界でありますようにと思います。


今回、コラムを執筆させていただき、患者さまから「読みましたよ」「毎回楽しみにしてます」などと声をかけられました。普段行っていることや考えていることを読んでもらう重要性を再認識しました。1年間、稚拙な執筆にお付き合いいただき、ありがとうございました。


(「Naoko女性クリニック」院長) = 第2・第4土曜日掲載





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